司法侍〜司法試験・予備試験勉強法ブログ〜

令和元年予備試験合格。令和2年法科大学院修了。同年司法試験受験。司法試験・予備試験の勉強法について発信します。

大展開すべき論点とそうでない論点

こんにちは!司法侍(@shihouzamurai)です!

今回は、どのようなときに論点を大展開し、どのようなときに論点を大展開しなくていいのかを書きたいと思います。

 

論点とは何か

そもそもなぜ「論点展開」と呼ばれるものをするのかというと、法律について解釈する必要があるからです。法律は抽象的に書かれているため、文言が一義的でない場合があります。

例えば、民法177条の「第三者」に関する論点を例に説明します。AがBに土地を売ったとします。その後、AがCに対しても土地を売り、Cは登記を具備しました。Cはいわゆる背信的悪意者だったとします。CはBにとっては第三者です。そして、条文上、民法177条には「第三者」としか規定されていません。そうすると、形式的には、Bは第三者たるCに対抗できないという帰結になりそうです。

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しかし、このように考えてしまうと、結論として妥当ではありません。そこで、「第三者」には背信的悪意者は含まれないという「解釈」が生まれるのです。

このように、法律を解釈しなくてはならないものが「論点」と言われるものです。

 

どのような場合に論点展開すべきなのか

論点展開すべき場合は、一言でいうと、解釈によって帰結が異なる場合です。

先述の事例についてみると、「第三者」の意味を文字通り第三者と解釈すると、BはCに対抗できないという帰結になります。「第三者」に背信的悪意者は含まれないと解釈すると、BはCに対抗することができるという帰結になります。このように、先述の事例では解釈の如何によって帰結が異なります。そのため、論点展開すべき事例です。

他方、先述の事例で、CがAB間売買について善意無過失だったとします。その場合、「第三者」をいかに解釈しても、BはCに対抗できないという帰結になるでしょう。このような場合は、「第三者」の論点展開は必要ありません

この事例については「当り前じゃないか」と思うかもしれません。しかし、基本的にはどの論点についても同じことが言えるのです。いずれの見解によっても結論が変わらない場合は、大展開する必要はなく、単に規範を書いてあてはめをすればよいのです。長々と理由付けをする必要はありません。場合によっては規範を書く必要もないでしょう。

 

どのように見分けるべきか

予備試験や司法試験はには時間制限があるため、大展開する必要のある論点と大展開する必要のない論点を区別し、後者については簡潔に述べるだけにとどめなければ最後まで書ききれない可能性があります。それを防ぐためにも、大展開すべきかそうでないかの判断力は重要です。

その判断は、簡単ではありません。過去問等を解く中で、上記の判断基準に基づき、どの論点が重要でどの論点が重要でないかを繰り返し考えることで身に着けるしかありません。慣れが最も重要です。

日々の学習の中では、対立した学説を意識して、各学説でどのような場合に帰結に差が出るのかを考えるとよいでしょう。その意味で、反対説を理解することが重要です。

 

参考にしていただけたら幸いです。

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